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2006/10/04

小さなサービスの組み合わせというSOAの発想は失敗する運命にある、のかも

SOAにおけるサービスは一義的にはビジネス層、そしてSOAはIT界の話なので当然二義的にアプリケーション層のものを指している(ついでに、某I社はデータサービスという概念を提唱して来ているようだ)。
だが、昔からサービスという考え方はテクノロジー層で存在し、それに基づく実装が活用されてきた。Windowsでは「サービス」だし、Unixでは「デーモン」と呼ばれるのがテクノロジー層におけるサービスの物理的な実装の例だ。これらはOSあるいはそれに近い基盤ソフトウェアの例だが、ネットワークや(OSの上で動く)アプリケーションプログラムについても同様の実装が存在する(各種のライブラリとか)。…ということを改めて思い起こさせられた興味深いエントリ↓
404 Blog Not Found:仕事をできる人作れる人


しかし、Gancarzの読みが浅かったところが一つだけある。

小さなプログラムを連携させて大きな仕事を片付けることが出来る人が限られている、ということ。


Gancarzというのは上記リンクで挙げられている『Unixという考えかた』の著者だが、この著作の中でGancarzは、Unixの根本的な考えかた・発想法(=philosophy。これは「哲学」という意味ではなく、もっとカジュアルに使われている)を、「小さなプログラム」あるいは小さなサービス群の提供とそれらの組み合わせによる活用を図る点にあるとしている。
これはシステム的な思考法が出来、かつUnixなりの与えられたシステムに習熟する時間が十分あるひとたちにとっては、強力で柔軟なソリューションを提供する。しかし、世の中有能でそれなりに暇があるひとばかりでなく、UnixでなくWindows、コマンドラインベースプログラムでなくGUIプログラムが優勢なのが現状だ。

業務システムが現在のようにモノリシックなものであるのも、同じところから来ていると推測される。業務システムのユーザーの言う通りに作ったら必ずそのようなものになるし、そうでないと彼らはシステムを使いこなせないのだ。何故なら彼らはシステム的な思考法が出来ないし、大抵の場合に彼らにはシステムに習熟するための十分な時間が与えられないから。システム的な思考法が出来ない人間でも短時間で簡単に使いこなせるようになるシステムを作ろうとすれば、不細工なGUIにプロセスがハードコードされたシステム以外作りようがない。

さて、最近流行りのSOAにおけるサービスだが、これもシステム的な思考法が出来て全社の多様かつ大量のサービス群を把握するだけの時間のある者でないと使いこなせないのは、より低級なサービスと同じことだ。「者」と書いたがそれは必ずしも個人である必要はなく、実際に先進事例やコンサルティング会社の構想では、ビジネスアナリストやITアーキテクトあるいはビジネスエグゼクティブを含む「SOA委員会」のような組織体を構成するべきであり、そこに業務領域をまたがるサービスについて情報交換を行ったりノウハウを蓄積したりするべきだ、とされているようだ。

まず、このような組織が上手く行くかどうかは、ひとえにそこに本当に有能な人間を集められるか、またその組織が有効に機能するような仕組みを構築できるか、というところに掛かっている。往々にしてそのような組織が業務領域間の抗争の場となったり、窓際な人間がとりあえず押し込まれるゴミ捨て場になったりするパターンが容易に想像出来る。
次に、そのような組織が上手く構築出来て機能したとして、システムのユーザーに対してはサービスを組み合わせて彼らが使えるような形で提供しなければならない。「彼らが使えるような形」とは、SOAを活用しようがどうしようが、最終的にはモノリシックな巨大システムになる。ではSOAを適用した利点は?、というと、実はIT側の利点しか挙げられない。SOAに基づいて品質の高いシステムを短納期でビジネスに届ける、などと言われたりするが、SOAに基づかなくてもそんなことはIT側に課せられた使命だ。SOAだから、という理由で経営者に投資額を積み増してもらうことは難しい。そもそも、SOA的な発想でスパゲッティ状態のアプリケーションやデータを解きほぐさないとビジネスの要求に答えるシステム作りが出来ないような状況に陥った責任の大半は、真っ当にシステム作りをして来なかったIT側にあるのだし。

全然まとまらないけど、こんなところで…

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