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2004/04/05

経済学という教養

稲葉振一郎『経済学という教養』読了。
想定読者にもろヒットで痛い。人文系ヘタレインテリってやつですか。

とりあえずの感想としては、言う割には「インテリ」臭が抜けていない本だな、と。
経済学の解説の部分もツールとして使えるようにはなっていない。いきなり「実物的ケインジアン」とか「貨幣的ケインジアン」とかいう用語を出されても面食らうだけなんですが。これってその業界では定番用語なの? あと、これらの切り方も、この用語が出てくるところを読んでもよく分からない。論争の文脈と理論的な布置の叙述がきっちり分けられていないような(や、著者は自信満々で分けているから分けられているのかもしれないけど)。だから読む側でそこを整理しなければならない(少なくとも一回さっくり読んですんなり理解出来るような記述ではない)。
そのような努力を読む者に強要するという点で、前記の感想。実物的-貨幣的の分け方も、ツールとして使えるようにしているつもりなんだろうけど、それを使って論壇のマッピングするところは、稲葉独自のものになっているような印象を受けるんだよね。理論と歴史の記述がきれいに分かれていないから、理論を使って現在の論争を歴史的背景に沿って切り分けるとき、ためにする議論というか、牽強付会我田引水なんじゃないのって気がするところがある。
これってポモ(ポストモダンを略してこう言うらしい)の色々な概念(ノマドとか)の使われ方と同じなんじゃないのかなー、というところだす。
ま、読む側の勉強不足だろって言われ得るのだけど、そこで勉強を強いると人文系へたれインテリワールドが再現されるんじゃないの。それを防ぐにはまず誰でもツールとして使えるレベルで本を書かなければならないのでは。

じゃあインテリ臭が無い本てどういうのっていうと、ちょうどブックオフ百円にて購入した小河光生『戦略コンサルタントビジネス・スキル・ブック』ていうのを読んだのだが、こういうの。アマゾンの評価(書名のわりに・・・, 2004/02/14 レビュアー: magic32)は悪いし、実際この程度のスキルで戦略コンサルは出来ないだろうけど、経営周りのトピックを一通りきれいにまとめてあってそれなりに有益。考えないで読める。著者の側で考えているから。
まあ、その著者の側の考えというのが曲者で、当然レベルを落とすとかいうのもあるわけだけど。
でも、本なりコンサルの成果物として出す場合には落としたレベルだろうと一定のレベルで一貫したかつ包括的な叙述が必要なわけで、それがちゃんと出来ているものは評価出来る。小河のこの本はその点良かった。

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